あなたは今、聴診器を持っていますか?
PT・OTの中には「自分には必要ない」と思っている方もいると思います。すべての症例で必要なわけではありませんが、呼吸器・循環器疾患など内部障害患者に関わる場面では、聴診器は状態把握のための重要な評価手段のひとつです。
この記事では、臨床経験約20年・ICU勤務の現役理学療法士として、PT・OTが聴診器を持つべき理由と、失敗しない選び方を本音でお伝えします。
購入するなら、まずリットマン クラシックIIIを基準に考えるのがおすすめです。

- 臨床経験約20年の理学療法士。集中治療・呼吸リハビリテーションに従事
- 認定理学療法士(呼吸)、集中治療理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士
- 集中治療室、救命救急病棟、一般病棟にて呼吸器疾患、重症疾患患者さんの治療に日々奮闘中
- Master Classic IIを約5〜6年、Master Cardiologyを10年以上使用。運営者プロフィール・資格認定証はこちら
PT・OTにとって聴診器が必須である理由
高齢化社会で内部障害患者は急増している
急性期・回復期・維持期、どの現場でも内部障害を抱えた患者さんは必ずいます。呼吸器疾患・循環器疾患の患者さんに関わるPT・OTにとって、聴診は患者さんの状態を把握するための基本的なスキルの一つです。
何か問題が起きたとき、聴診器がなければ何が起きているかを把握する手段が一つ消えます。患者さんのことをより正確に知るための選択肢を、自分から手放しているのはもったいないと思っています。
PTOTが聴診器を使う具体的な場面
誤嚥性肺炎患者のリスク管理
最も聴診器が活躍するのが、誤嚥性肺炎の患者さんへの関わりです。
仰臥位で寝ている患者さんの背側の状態を把握したいとき、私はマットレスと患者さんの背中の間に聴診器を忍ばせていきます。皮膚が脆弱な患者さんも多いので、マットをぐっと押し込んで隙間を作り、そこにチェストピースを入れるイメージです。
この評価で背側の換気がおおよそ推察できます。さらに姿勢を変えたとき(仰臥位→側臥位→端座位)に呼吸音がどう変化するかを確認することで、痰がどこにあるか、気道を阻害していないかをアセスメントしていきます。
離床・運動療法前のアセスメント
ただし、すべての患者さんに聴診が必要なわけではありません。呼吸器・気道に問題がない患者さんは、呼吸様式や呼吸数を視診で確認するだけで十分代用できます。
聴診器が力を発揮するのは、呼吸器疾患・気道に懸念がある症例に対してです。そういった患者さんに対しては、端座位や歩行練習の前に「この患者さんはどこまで動いても大丈夫か」を聴診でしっかりアセスメントします。気道の状況・換気の左右差・姿勢変換後の呼吸音変化を確認することで、安全な運動療法につなげていきます。
重症患者・呼吸器疾患患者での活用
ICUや救命病棟では、人工呼吸器管理中の患者さんの左右換気の偏りや、背側換気の状況を把握するために聴診を使います。間質性肺炎の患者さんではファインクラックル(捻髪音)の聴取も重要な評価です。打診と組み合わせることで、より精度の高い呼吸評価が可能になります。
心不全患者でも聴診器は使える【盲点】
「自分は循環器担当だから聴診器はいらない」と思っているPT・OTもいると思います。でもこれは少し違います。
心不全や肺うっ血が疑われる場面では、肺野で副雑音を聴取することがあります。ただし聴診所見だけで増悪を判断するものではありません。呼吸困難、SpO2、呼吸数、浮腫、体重変化、画像・検査所見などと組み合わせて評価することが重要です。
運動負荷をかける場面がある心疾患患者に関わるPT・OTは、聴診器を持っておくことを強くおすすめします。
PT・OTが聴診器選びで失敗するパターン
そもそも持っていない
内部障害患者に関わる場面があるのに聴診器を持っていないのは、評価の手段が一つない状態です。他の医療スタッフとの連携においても、きちんとした聴診器を持っているかどうかは信頼性にも影響します。
チェストピースの形状を間違える
PT・OTこそ背側聴診が重要な場面が多いため、チェストピースがコンパクトで背中に忍ばせやすい形状かどうかが大切です。形状が合っていないと、背側聴診の場面で使いにくさを感じることになります。
価格だけで選んでしまう
無名メーカーの安い聴診器はイヤーピースがスカスカで外の音が筒抜けになり、膜面の性能が低くて繊細な音が拾えません。有効な聴診ができないだけでなく、他の医療スタッフからの信頼にも影響します。
PT・OT向けおすすめ聴診器3選【おすすめ順】
※ おすすめ度が高い順に紹介します。価格は変動するため、最新価格は商品リンク先でご確認ください。
【第1位・最推奨】リットマン クラシックIII

PT・OT全員へのファーストチョイスです。密封性・遮音性・形状のバランスがすべて高水準で、背側への「忍ばせ聴診」もしやすいコンパクトな構造になっています。急性期・回復期・維持期どの現場でも、これ1本あればほとんどの場面に対応できます。
PTもOTも、まず迷ったらクラシックIIIを選んでください。
【第2位・聴こえ方重視】リットマン マスターカーディオロジー

ICU・救命病棟・呼吸器専門のPTには選択肢に入るモデルです。シングル構造でチェストピースが薄く、背側への忍ばせ聴診がさらにしやすくなっています。ただしクラシックIIIでも十分対応できるので、全員に必須というわけではありません。クラシックIIIと僅差の1位2位という位置付けです。
【第3位・軽さ重視】リットマン ライトウェイトII S.E.

整形外科専門・内部障害患者をほとんど診ない方に限った選択肢です。呼吸器・循環器疾患患者に関わる場面があるなら力不足になります。また聴診器は10〜15年使うものなので、長期的に考えるとクラシックIIIの方がコスパに優れています。
👉 リットマン® ライトウェイトII S.E. を忖度なくレビュー
PT・OTが聴診器を選ぶときに最も大事なこと
PT・OTが聴診器を選ぶ上で看護師と少し異なるのが、チェストピースの形状への意識です。背側聴診の場面が多いPT・OTにとって、チェストピースがコンパクトで忍ばせやすい形状かどうかは非常に重要です。
理想はシングル構造ですが、シングル構造のモデルはハイエンドになり価格が跳ね上がります。コスパを考えると、ダブルタイプでありながらコンパクトな形状を持つクラシックIIIが現実的な最適解です。
そして購入時に必ずやっておくべきことが1つあります。
👉 聴診器に名前の刻印は必要?紛失経験から購入時に入れるべき理由
番外編:日本製ならケンツメディコ ティーエスフォネット No.132も選択肢に

ここまでリットマンを中心に紹介してきましたが、実は私がPTとして「これもいいな」と思っている聴診器がもう1つあります。ケンツメディコのティーエスフォネット No.132です。
正直に言います。シェアで言えばリットマンが圧倒的で、ケンツメディコを使っている方はかなり少数派です。だから「まずこれを買え」とは言いません。でもチェストピースの形状がPTの背側聴診にとって非常に使いやすく、日本製というブランドへの信頼感もあり、個人的には応援したいメーカーです。
「リットマン以外のものが欲しい」「人と違うこだわりのある1本を選びたい」というPTには、選択肢として十分アリだと思っています。
👉 ケンツメディコ ティーエスフォネット No.132を忖度なくレビュー
まとめ:まず「持っていない」を解消することが最優先
PT・OTにとって聴診器は間違いなく必須のツールです。高齢化が進む現代では、どの現場でも内部障害患者さんに関わる場面があります。そのときに聴診器という選択肢を持っているかどうかが、患者さんへの関わりの質に直結します。
- 迷ったら → リットマン クラシックIII
- ICU・呼吸器専門で上を目指すなら → マスターカーディオロジー
- 整形外科専門で内部障害をほぼ診ない → ライトウェイトII S.E.
- 購入時は必ず名前の刻印を入れること
まず「持っていない」を今すぐ解消してください。それだけで患者さんへの関わり方が一段階変わります。
👉 聴診器おすすめランキング2026|看護師・医師・リハビリテーション職向け徹底比較
👉 看護師におすすめの聴診器5選|現役理学療法士が選ぶ失敗しない1本
📚 参考・引用文献
- 執筆者の臨床経験(臨床経験約20年・ICU勤務)に基づく
- 3M リットマン公式製品情報
