実は今でも1本この聴診器を持っていますが、なんだか持ったないくて大切に保管しています。今回は実機を用いてレビューします
なぜ廃盤の聴診器を今さらレビューするのか
結論から言います。廃盤になったのが、残念でたまりません。
マスタークラシックIIは、私が理学療法士として入職してすぐに購入し、5年以上メインで使い続けた聴診器です。急性期病院の一般病棟から集中治療室(ICU)まで、あらゆる現場でともにしてきた1本です。
廃盤になった今、もし誰かに「マスタークラシックIIってどうだった?」と聞かれたら、迷わずこう答えます。「廃盤になってなければ、間違いなくおすすめ第1位だった」と。
廃盤になってしまった以上、今から高値で探してまで買う必要はありません。ただ、なぜこの聴診器がそれほど優れていたのかを知ってほしいんです。その理由が、次の聴診器選びのヒントになるからです。
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基本スペック


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | 3M Littmann(リットマン) |
| モデル | マスタークラシック II(Master Classic II) |
| チェストピース | シングルサイド(片面) |
| ダイアフラム方式 | サスペンデッド・ダイアフラム(径47mm) |
| チェストピース素材 | ステンレス製 |
| 全長 | 約68cm |
| 重量 | 約150g |
| 定価(参考) | 約3.5〜4万円台(廃盤のため現在は変動あり) |
| 現在の状況 | 廃盤(生産終了) |
チェストピースの特徴:薄さとフラットさが最大の強み


マスタークラシックIIは、チェストピースが片面(シングルサイド)です。クラシックIIIなどのダブルサイドとは異なり、面を切り替える操作が不要で、押さえる力の強弱だけで高周波音・低周波音を切り替えることができます(サスペンデッド・ダイアフラム機構)。
同じシングルサイドのマスターカーディオロジーと比べると、チェストピースがより薄く・フラットに設計されています。またチェストピースの指で挟む部分の形状が丸みを帯びていてこの設計の差が、実際の臨床現場で大きな違いを生みます。
実際に5年間使って感じたこと
音の聞こえ方


呼吸音・心音ともに、問題なく聞こえます。急性期・ICUでは呼吸状態のアセスメントが頻繁に求められますが、この聴診器で5年間そのアセスメントをし続けて、音が聞こえなくて困った経験は一度もありませんでした。
「特別に優れているか」と言われると、カーディオロジーシリーズほどの繊細さはないかもしれません。ただ急性期・ICUの現場で必要な情報を得るには、十分すぎるほどの性能です。
最大の強み:背側聴診のしやすさ


これが、マスタークラシックIIについて最も伝えたいことです。
急性期病院・ICUでは、患者さんが仰臥位(仰向け)のまま呼吸音を聴診する場面が非常に多くあります。背側の呼吸音を聴くには、ベッドと患者さんの体の隙間に手を差し込み、聴診器を滑り込ませる必要があります。これがチェストピースの形状によって劇的に難易度が変わります。
マスタークラシックIIのチェストピースは、薄くフラットで丸みを帯びていて、なめらかに背側へ滑り込む形状をしています。ベッドと患者さんの体の間に「するり」と差し込むことができ、体位変換なしに背部聴診が行えます。
私の感覚では、このモデルが最も背側聴診がしやすい聴診器でした。マスターカーディオロジーと比較しても、チェストピースの厚みの差から、マスタークラシックIIの方が明らかに背側へ差し込みやすいと感じていました。
紛失した話と、刻印について
マスタークラシックIIから別の聴診器に変えたのは、紛失したからです。患者さんのベッドサイドに聴診器を置いたまま病室を出てしまい、そのまま行方不明になりました。刻印がなかったため「これは私のものです」と言える確証がなく、泣く泣く新しいものを購入することになりました。
聴診器を購入したら、必ず刻印を入れてください。数百円の追加コストで、数万円の聴診器を守れます。


良い点・気になる点
良い点
- 急性期・ICUでの背側聴診が最もしやすい(シングルサイドの薄さが強み)
- 呼吸音・心音ともに十分な音質
- 操作がシンプル(面の切り替え不要)
- 職種・経験年数を問わず使いやすい
気になる点
- 廃盤(生産終了)のため現在は定価より高値の場合がある
- カーディオロジーシリーズと比べると音響性能の上限はある
評価まとめ
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 音質(呼吸音) | ★★★★☆ |
| 音質(心音) | ★★★★☆ |
| 背側聴診のしやすさ | ★★★★★ |
| 操作性 | ★★★★★ |
| 汎用性(職種・診療科) | ★★★★★ |
| 現在の購入推奨度 | ★★☆☆☆(廃盤・高値のため) |
5年間、急性期・ICUの現場でともに歩んだ聴診器です。廃盤になってしまったことが今でも残念でなりません。ただ、なぜシングルサイドが現場で強いのか、背側聴診のしやすさがいかに重要か、この記事を読んで少しでも感じてもらえたなら、次の聴診器選びに役立ててください。






📚 参考・引用文献
- 執筆者の臨床経験(PT歴18年・ICU勤務・集中治療理学療法士)に基づく
- 3M リットマン公式製品情報

