「とりあえず安いものでいいか」と思って聴診器を買った経験はありませんか?
実は私自身も、入職1年目に先輩から「一本持っておいた方がいい」と言われて聴診器を購入しました。選んだのはリットマンのスタンダードモデル。値段も性能も悪くなかったんですが、名前を入れなかったんです。その結果、病棟に同じモデルが溢れていて、どれが自分のものかわからなくなって紛失してしまいました。
この記事では、PT歴18年・ICU勤務の現役理学療法士として、看護師さんが聴診器選びで失敗しないための本音の情報をお伝えします。
結論から言います。迷ったらリットマン クラシックIII一択です。
看護師が聴診器選びで失敗する本当の理由
「安いもので試してから買い替えよう」が危険な理由
聴診器は、実は買い替えのタイミングがほとんど来ない道具です。
壊れにくいし、使い続けようと思えば何年でも使えてしまう。だから「安いものを買って、いずれ良いものに買い替えよう」と思っていても、そのいつかはなかなか来ないんです。
私自身がそうでした。入職1年目に業者さんにお願いして購入したリットマンのマスタークラシック。名前を刻印しなかったせいで、病棟に溢れていた同じモデルと区別がつかなくなり、置き忘れた場所もわからなくなって紛失してしまいました。
そのときに初めて「次はちゃんとしたものを買おう」と思って買い替えたわけですが、逆に言えばそういうきっかけがない限り、人間って買い替えないんですよね。
正直、私自身も聴診器がなくなったときに初めてちゃんとしたものを買いました。そうでもしない限り、人間って買い替えないんですよね。だから最初の1本が全てなんです。
つまり、最初の1本がそのままずっと使い続ける1本になる可能性が高いということです。だからこそ、最初から「ちゃんとしたもの」を選ぶことが重要なんです。
ちなみに、聴診器を買うときに絶対にやっておくべきことが1つあります。それについてはこちらの記事で詳しく書いています。


おもちゃみたいな聴診器が現場に存在するという現実
病院のナースステーションや処置室に、アナログ血圧計とセットで置いてある聴診器を見たことはありませんか?
実は私、あの聴診器を実際に使ってみたことがあります。
まずイヤーピースが完全にスカスカで、外の音が筒抜けで入ってきます。次にチェストピースを患者さんの胸に当ててみると、大きな音は一応拾えるんですが、繊細な音になると「これ、何聞いてるんだろうか」というレベルの性能でした。
「患者さんの胸にちゃんと当たってるのに、音が拾えてなくない?」という感覚です。
これを普通の診察で日常的に使っているとしたら、正直おもちゃで診察しているようなもんだと思いました。音が拾えていない状態で聴診しても、患者さんの状態は正確に評価できません。
無名ECサイトで売っている1万円以下の無名メーカー品も、これと同じレベルのリスクがあります。「安くて見た目は聴診器っぽい」ものでも、実際の臨床では使い物にならないものが存在します。同じ医療職として、そういうもので聴診している姿を見ると、正確な評価ができているのか心配になってしまいます。
看護師が聴診器に求めるべき本当のスペック
「ダブルタイプ必須」は実は違う
「看護師はダブルタイプ(ベル面・膜面が分かれているもの)を選ぶべき」という情報をよく見かけます。間違いではないんですが、これを最初に言うのは私のニュアンスとは少し違います。
実際のところ、シングルタイプでも心音と呼吸音の聞き分けは十分にできます。ダブルタイプにしておけば確かに間違いないですが、それよりも先に大事なことがあるんです。
一番重要なのは「背側に忍ばせられるか」
臨床で非常に重要なのが、寝ている患者さんの背側の聴診です。
背側の呼吸音を確認することは、患者さんの状態把握において欠かせない評価です。ただ現実には、寝ている患者さんをわざわざ体位変換して背側を聴診できている看護師さんはそれほど多くありません。
そこで重要になるのが、「マットレスと患者さんの間に聴診器を忍ばせられる構造かどうか」です。チェストピースが薄くてコンパクトなモデルであれば、患者さんを動かさずに背側の音を拾うことができます。
ICUで働いていると、この「忍ばせられるか」が地味にめちゃくちゃ大事なんです。私は患者さんごとに毎回確認しています。これができると評価の質が格段に上がります。
リットマン クラシックIIIは、この点においても非常に優れた構造をしています。ダブルタイプでありながらチェストピースがコンパクトで、背側への「忍ばせ聴診」がしやすいモデルです。
密封性・遮音性が音の聞こえ方を決める
どれだけ良いチェストピースを持っていても、イヤーピースの密封性が低ければ意味がありません。外の音が入ってきた状態では、患者さんの音を正確に拾うことはできないからです。
リットマンのソフトシーリングイヤーチップは、この密封性において他の追随を許しません。安物との差がここに一番出ます。
予算別おすすめ聴診器3選【2025年最新価格】
※価格はAmazon参考価格です。変動する場合がありますので、リンク先でご確認ください。
【最低ライン】リットマン ライトウェイトII S.E.
こんな人向け:開業医・外来専門・聴診器の使用頻度が少ない方
無名メーカーとは全く別物のリットマンブランド品です。価格を抑えながらも、基本的な性能はしっかり担保されています。ただし急性期病院やICUで毎日使うには、少し力不足な面があります。
⚠️ 急性期・ICU勤務の方には次のクラシックIIIをおすすめします。


【標準・最推奨】リットマン クラシックIII
こんな人向け:急性期病院・一般病棟・ICU・救命病棟で働くすべての看護師
迷ったらこれ一択です。密封性・遮音性・形状のバランスがすべて高水準で、背側への「忍ばせ聴診」もしやすい構造になっています。急性期で働く看護師さんがこれを持っていれば、聴診器で困ることはまずありません。
私がICUで一緒に働く看護師さんにすすめるとしたら、迷わずこれを選びます。


【ハイエンド】リットマン マスターカーディオロジー
こんな人向け:ICU・救命病棟・循環器・呼吸器専門病棟で働く看護師
クリティカルケア領域で重症患者さんと向き合う看護師さんが、このレベルの聴診器を使っているのを見ると、正直「この人は本物だ」と思います。道具への姿勢が伝わるんです。同じチームで重症患者を見ていく仲間として、そういう信頼感は大きいです。


買ってはいけない聴診器の特徴
- 無名ECサイトで売っている1万円以下の無名メーカー品
- イヤーピースがスカスカで外の音が筒抜けになるもの
- チェストピースの密封性がなく、繊細な音が拾えないもの
- 病院に備品として置いてあるアナログ血圧計とセットのもの
これらの聴診器は、見た目は聴診器でも臨床で使える代物ではありません。音が拾えない状態で聴診を続けることは、患者さんへの影響に直結します。
まとめ:最初の1本が全てを決める
聴診器は買い替えのタイミングがほとんど来ない道具です。だからこそ、最初の1本をちゃんと選ぶことが何より重要です。
- 使用頻度が少ない方 → ライトウェイトII S.E.
- 急性期・一般病棟・ICU → クラシックIII(迷ったらこれ)
- クリティカルケア専門 → マスターカーディオロジー
- 購入時は必ず名前の刻印を入れること
このブログで紹介している聴診器を選んでいただければ、「買って後悔した」ということにはなりません。迷っている方はまずクラシックIIIを選んでください。


📚 参考・引用文献
- 執筆者の臨床経験(PT歴18年・ICU勤務)に基づく
- 3M リットマン公式製品情報


