聴診器って感染拡大の原因になり得るんじゃないの?どういう対策が望ましいんだろう?
結論から言うと、毎日アルコール綿で聴診器を拭き取るように消毒することが望ましいです。
この記事では、医療用聴診器がどれだけ感染源のリスクとなり、正しい消毒方法についてエビデンスを用いてわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、聴診器がどれだけ感染源となり得るか、その対策方法について根拠を持って理解できるようになります。
この記事の引用元について
このブログではあなたにぴったりの医療用聴診器を選ぶためのポイント解説をメインテーマとしています。
ですが、医療用聴診器について語る際には、感染対策について解説は必須と考えております。
聴診器は院内、施設内での重大な感染源の一つになりえます。
いくら自分に合った素晴らしい聴診器を使用していても、その聴診器で接する対象者に感染症を伝播させてしまっては本末転倒です。
医療用聴診器の感染対策について記事を作成するために情報をリサーチしたところ、北摂総合病院呼吸器内科、感染対策室の福家良太先生が、日経メディカルにて聴診器の感染対策についてわかりやすく、重要なポイントを解説されていました。
この記事では、福家先生の記事を引用しエビデンスについてはより詳細に内容を提示して、先生の記事を深掘りする形で医療用聴診器の正しい消毒方法についてわかりやすく解説します。
福家先生が執筆なさっている記事は日経メディカルに会員登録することで読むことが可能です。
- 臨床18年目の現役理学療法士
- 認定理学療法士(呼吸)、3学会合同呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士
- 集中治療室、救命救急病棟、一般病棟にて呼吸器疾患、重症疾患患者さんの治療に日々奮闘中
- 医療の最前線から本当に必要な聴診器について発信します
医療用聴診器はどれだけ汚染しているのか?
聴診器のダイアフラムは指先と同じくらい細菌がついている
聴診器は医療従事者が手で触り、かつ患者の体に当てる医療器具であり、消毒もあまりされないことから菌汚染リスクは高く、手自体の汚染度に匹敵するとも報告されています1)。
文献からグラフを引用し見やすく改変しました。
図1)単一の身体検査後に回収された医師の手(手袋着用)と聴診器からの全菌コロニー数 引用文献1)より引用改変
手の指先に最も多くの細菌が付着しており、次に聴診器のダイアフラムに細菌が多く付着していました。
約79%の聴診器が細菌に汚染され、手洗いをしていると聴診器の汚染が少ない
この研究では、
- 使用する聴診器を定期的に消毒すること
- 手洗いを徹底すること
この2点が院内感染の予防に重要であることを強調しています。
- 約79%の聴診器が汚染しており、消毒をしていない聴診器の汚染率は100%となっていた。
- 手洗いを実施したひとの聴診器は、実施しなかったものと比べて、細菌汚染が著しく少なかった。
この研究から、手が汚染されなければ聴診器が汚染されることはまれであることが分かり、手指衛生の重要さが分かります。
医療従事者が聴診器の消毒を行っている頻度はどれくらいか?
清掃頻度 | 合計人数(割合) |
---|---|
ほとんど清掃しないまたは非常に稀 | 32人 (32%) |
週1回清掃 | 47人 (47%) |
毎日清掃 | 21人 (21%) |
毎患者後に清掃 | 0人 (0%) |
消毒頻度 | 医療従事者の割合(%) |
---|---|
週1回 | 32% |
月1回 | 24% |
年1回またはしない | 44% |
どのような消毒が有効か?
アルコール製剤が最も菌汚染を減らす
アルコール製剤での消毒が最も汚染率が低い
「聴診器に付着した細菌の種類を、清掃前と清掃後で表示しています。棒グラフは、エタノール系消毒液(EBC)とイソプロピルアルコールのグループにおいて、各細菌種が検出されたプレートの数を示しています。細菌の種類や使用した消毒液間での有意差は見られませんでしたが、清掃前後のコロニー形成単位(cfu)の総数の減少は統計的に有意でした。」
つまりアルコール製剤で聴診器を消毒すれば、有意にその細菌数を減少させることができるということです。
- 聴診器のダイアフラムは指先と同じくらい細菌がついている
- 手洗いをしていると聴診器の汚染が少ない
- 医療者自身が聴診器の消毒をあまりしない
- 消毒はアルコール製剤であれば有効である(アルコールの種類間で有意差なし)
聴診器を購入しようと思ったら、絶対に押さえておくべきポイントがあります。
それは、名前の刻印です。以下の記事を参考にしてみてください。
他のモデルやレビューも確認し、自身のニーズに最も合った聴診器を選ぶために、ぜひ詳細を確認してみてください。医療現場での診断精度を高めるために、最適なツールを選ぶことが重要です。