「とりあえず安いものでいいか」と思って聴診器を買った経験はありませんか?
実は私自身も、入職1年目に先輩から「一本持っておいた方がいい」と言われて聴診器を購入しました。選んだのはリットマンのスタンダードモデル。値段も性能も悪くなかったんですが、名前を入れなかったんです。その結果、病棟に同じモデルが溢れていて、どれが自分のものかわからなくなって紛失してしまいました。
この記事では、臨床経験約20年・ICU勤務の現役理学療法士として、看護師さんが聴診器選びで失敗しないための本音の情報をお伝えします。
看護学生・リハビリ学生で、実習前の1本を探している方は、看護学生・リハビリ学生向けの聴診器選びを先にご覧ください。この記事は、主に臨床で働く看護師を対象にしています。
結論から言うと、迷ったらリットマン クラシックIIIを第一候補にします。

- 臨床経験約20年の理学療法士。集中治療・呼吸リハビリテーションに従事
- 認定理学療法士(呼吸)、集中治療理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士
- 集中治療室、救命救急病棟、一般病棟にて呼吸器疾患、重症疾患患者さんの治療に日々奮闘中
- Master Classic IIを約5〜6年、Master Cardiologyを10年以上使用。運営者プロフィール・資格認定証はこちら
看護師が聴診器選びで失敗する本当の理由
「安いもので試してから買い替えよう」が危険な理由
聴診器は、実は買い替えのタイミングがほとんど来ない道具です。
壊れにくいし、使い続けようと思えば何年でも使えてしまう。だから「安いものを買って、いずれ良いものに買い替えよう」と思っていても、そのいつかはなかなか来ないんです。
私自身がそうでした。入職1年目に業者さんにお願いして購入したリットマンのマスタークラシック。名前を刻印しなかったせいで、病棟に溢れていた同じモデルと区別がつかなくなり、置き忘れた場所もわからなくなって紛失してしまいました。
そのときに初めて「次はちゃんとしたものを買おう」と思って買い替えたわけですが、逆に言えばそういうきっかけがない限り、人間って買い替えないんですよね。
正直、私自身も聴診器がなくなったときに初めてちゃんとしたものを買いました。そうでもしない限り、人間って買い替えないんですよね。だから最初の1本が全てなんです。
つまり、最初の1本がそのままずっと使い続ける1本になる可能性が高いということです。だからこそ、最初から「ちゃんとしたもの」を選ぶことが重要なんです。
ちなみに、聴診器を買うときに絶対にやっておくべきことが1つあります。それについてはこちらの記事で詳しく書いています。

安価な聴診器を臨床で使う前に確認したいこと
病院のナースステーションや処置室に、アナログ血圧計とセットで置いてある聴診器を見たことはありませんか?
実は私、あの聴診器を実際に使ってみたことがあります。
まずイヤーピースが完全にスカスカで、外の音が筒抜けで入ってきます。次にチェストピースを患者さんの胸に当ててみると、大きな音は一応拾えるんですが、繊細な音になると「これ、何聞いてるんだろうか」というレベルの性能でした。
「患者さんの胸にちゃんと当たってるのに、音が拾えてなくない?」という感覚です。
私が実際に使った範囲では、臨床で細かな呼吸音や心音を評価する用途には十分とは感じませんでした。聴診器は見た目だけでなく、イヤーチップの密着性や聴こえ方まで確認して選ぶ必要があります。
私自身は、臨床で使う聴診器については「メーカーが明確であること」「1万円前後以上をひとつの目安にすること」を最初の選定基準にしています。価格だけで性能は決まりませんが、患者評価に使う道具なので、極端に安価な製品を価格だけで選ぶことは勧めません。
看護師が聴診器に求めたい3つの実用ポイント
「ダブルタイプ必須」は実は違う
「看護師はダブルタイプ(ベル面・膜面が分かれているもの)を選ぶべき」という情報をよく見かけます。間違いではないんですが、これを最初に言うのは私のニュアンスとは少し違います。
実際のところ、シングルタイプでも心音と呼吸音の聞き分けは十分にできます。ダブルタイプにしておけば確かに間違いないですが、それよりも先に大事なことがあるんです。
一番重要なのは「背側に忍ばせられるか」
臨床で非常に重要なのが、寝ている患者さんの背側の聴診です。
背側の呼吸音を確認したい場面では、患者さんの状態によって体位変換が難しいことがあります。そのため、仰臥位のまま背側へチェストピースを入れやすいかどうかは、病棟での使い勝手を左右します。
そこで重要になるのが、「マットレスと患者さんの間に聴診器を忍ばせられる構造かどうか」です。チェストピースが薄くてコンパクトなモデルであれば、患者さんを動かさずに背側の音を拾うことができます。
ICUで働いていると、この「忍ばせられるか」が地味にめちゃくちゃ大事なんです。私は患者さんごとに毎回確認しています。これができると評価の質が格段に上がります。
リットマン クラシックIIIは、この点においても非常に優れた構造をしています。ダブルタイプでありながらチェストピースがコンパクトで、背側への「忍ばせ聴診」がしやすいモデルです。
密封性・遮音性が音の聞こえ方を決める
どれだけ良いチェストピースを持っていても、イヤーピースの密封性が低ければ意味がありません。外の音が入ってきた状態では、患者さんの音を正確に拾うことはできないからです。
リットマンのソフトシーリングイヤーチップは、この密封性において他の追随を許しません。安物との差がここに一番出ます。
予算別おすすめ聴診器3選
価格は変動するため、最新価格は商品リンク先で確認してください。
【軽さ重視】リットマン ライトウェイトII S.E.
こんな人向け:開業医・外来専門・聴診器の使用頻度が少ない方
無名メーカーとは全く別物のリットマンブランド品です。価格を抑えながらも、基本的な性能はしっかり担保されています。ただし急性期病院やICUで毎日使うには、少し力不足な面があります。
⚠️ 急性期・ICU勤務の方には次のクラシックIIIをおすすめします。

【第一候補】リットマン クラシックIII
こんな人向け:急性期病院・一般病棟・ICU・救命病棟で働くすべての看護師
迷ったらこれ一択です。密封性・遮音性・形状のバランスがすべて高水準で、背側への「忍ばせ聴診」もしやすい構造になっています。急性期で働く看護師さんがこれを持っていれば、聴診器で困ることはまずありません。
私がICUで一緒に働く看護師さんにすすめるとしたら、迷わずこれを選びます。

【聴こえ方重視】リットマン マスターカーディオロジー
こんな人向け:ICU・救命病棟・循環器・呼吸器専門病棟で働く看護師
クリティカルケア領域で重症患者さんと向き合う看護師さんが、このレベルの聴診器を使っているのを見ると、正直「この人は本物だ」と思います。道具への姿勢が伝わるんです。同じチームで重症患者を見ていく仲間として、そういう信頼感は大きいです。

買ってはいけない聴診器の特徴
- 無名ECサイトで売っている1万円以下の無名メーカー品
- イヤーピースがスカスカで外の音が筒抜けになるもの
- チェストピースの密封性がなく、繊細な音が拾えないもの
- 病院に備品として置いてあるアナログ血圧計とセットのもの
これらの聴診器は、見た目は聴診器でも臨床で使える代物ではありません。音が拾えない状態で聴診を続けることは、患者さんへの影響に直結します。
まとめ:看護師は用途と取り回しで選ぶ
聴診器は買い替えのタイミングがほとんど来ない道具です。だからこそ、最初の1本をちゃんと選ぶことが何より重要です。
- 使用頻度が少ない方 → ライトウェイトII S.E.
- 急性期・一般病棟・ICU → クラシックIII(迷ったらこれ)
- クリティカルケア専門 → マスターカーディオロジー
- 購入時は必ず名前の刻印を入れること
このブログで紹介している聴診器を選んでいただければ、「買って後悔した」ということにはなりません。迷っている方はまずクラシックIIIを選んでください。
📚 参考・引用文献
- 執筆者の臨床経験(臨床経験約20年・ICU勤務)に基づく
- 3M リットマン公式製品情報
