ケンツメディコ TS-FONETTE No.132を実機レビュー
聴診器といえばリットマンを思い浮かべる方が多いと思いますが、国内メーカーにも魅力的な製品があります。
今回紹介するのは、ケンツメディコの「ティーエスフォネット No.132」です。
私は理学療法士として急性期病院で勤務し、日常的に聴診器を使用しています。現在のメイン機種はリットマンのマスターカーディオロジーですが、リットマン以外にも気になる聴診器があり、実機を確認してきました。
TS-FONETTE No.132も、そのうちの1本です。
ただし、今回の評価は自分や家族への聴診、実機の操作・装着確認を中心としたものです。TS-FONETTE No.132を患者さんへの聴診に使用した経験はありません。臨床での使いやすさについては、私自身の急性期での経験を踏まえた考察としてお読みください。

- 臨床経験約20年の理学療法士。集中治療・呼吸リハビリテーションに従事
- 認定理学療法士(呼吸)、集中治療理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士
- 集中治療室、救命救急病棟、一般病棟にて呼吸器疾患、重症疾患患者さんの治療に日々奮闘中
- Master Classic IIを約5〜6年、Master Cardiologyを10年以上使用。運営者プロフィール・資格認定証はこちら
結論:リットマン以外を検討するなら有力な候補
最初に結論からお伝えします。
TS-FONETTE No.132は、実機を確認した範囲では、聴こえ方・装着感・取り回しのいずれも好印象でした。
特に気に入ったのは、独特なダイアフラムの構造とチェストピースの形状です。
仰向けで寝ている患者さんの背側にチェストピースを差し込む機会がある私にとって、この形状は魅力的に感じます。
一方で、私はこの機種を患者さんに使用して検証したわけではありません。また、初めて聴診器を購入する方には、現在もリットマン Classic IIIを第一候補として勧めています。
実際に触ってみると、想像以上にいい感じ。リットマン以外にも、こういう選択肢があるのは面白いですね。
今回紹介する聴診器はこちらです。
TS-FONETTE No.132の特徴
TS-FONETTE No.132は、ケンツメディコが販売する聴診器です。
メーカーが公表している主な特徴は、次のとおりです。
- 独自のエクステンションダイアフラムを搭載
- 軽量で扱いやすいシングルチューブ構造
- チェストピースと耳管にステンレスを採用
- 複数の種類から選べるイヤーピース
- 角度を調整できる耳管
なお、今回紹介するNo.132と、上位モデルの「TS-FONETTE Grande No.182」は別製品です。No.132はシングルチューブ、No.182 Grandeはツーインワンチューブを採用しています。
製品仕様については、ケンツメディコ公式製品ページも参考にしてください。
チェストピース:独特のダイアフラム構造


私がTS-FONETTE No.132で特に注目したのが、チェストピースです。
この機種には、ケンツメディコ独自のエクステンションダイアフラムが搭載されています。
メーカーによると、伸展性のある弾性膜と高剛性の透明膜を組み合わせ、ダイアフラムに適切な張力を加える構造です。
軽く当てたときと、やや強く押し当てたときで聴こえ方が変化することも、メーカーが説明している特徴の一つです。
ただし、こうした構造上の特徴と、実際の臨床で他機種より優れた結果が得られるかどうかは分けて考える必要があります。

仰臥位での背側聴診を想定した使いやすさ
私は急性期の理学療法士として、仰向けで寝ている患者さんの背側を聴診する場面があります。
その際、チェストピースの形状や厚みは、私にとって重要な評価項目です。
TS-FONETTE No.132のチェストピースを触ってみると、私が以前使用していたリットマン マスタークラシックIIを思い出しました。
背側へ差し込むことを考えたときに、比較的扱いやすそうな形状だと感じたためです。
私の使い方だと、この形状は結構好きですね。寝ている患者さんの背側へ差し込むことを考えると、魅力を感じます。
ただし、これは実機の形状と私自身の臨床経験からの判断です。No.132を実際の患者さんに使用して確認した結果ではありません。
胸郭の凹凸が大きい場合はどうか
一方で、自分や家族に当ててみた際には、胸郭の凹凸が大きい部位では膜面全体を密着させにくい可能性も感じました。
特に、肋骨が浮き出ているような部位では、当てる角度や位置によって接触面が変わることが考えられます。
これはNo.132特有の欠点と断定できるものではなく、私が実機を確認した際の印象です。患者さんを対象に検証した結果でもありません。
イヤーピース:装着感と密閉性

聴診器の聴こえ方を考えるとき、チェストピースだけでなくイヤーピースのフィット感も重要です。
イヤーピースが耳に合っていないと、外部の音が入りやすくなったり、装着時に違和感が出たりすることがあります。
TS-FONETTE No.132では、複数の種類のイヤーピースを選択できる構造が採用されています。
メーカーによると、ソフトイヤーピースには回転式の土台があり、装着時のフィット感に配慮した設計になっています。
実際の装着感
私が自分で装着した範囲では、イヤーピースの密閉感は十分でした。
耳へ無理に押しつけなければ聴こえないという感覚はなく、装着時に音が大きく漏れるような印象もありませんでした。
イヤーピースの密閉感はいい感じ。私にはリットマンと比べても大きな違和感はありませんでした。
ただし、耳の形には個人差があります。私に合っていたからといって、すべての人に同じ装着感が得られるとは限りません。
耳管とチューブ:取り回しや質感を確認

耳管まわりの圧迫感は、私にはリットマンと大きく変わる印象はありませんでした。
十分な密閉感があり、装着時に音が逃げるような感覚も特にありませんでした。
また、No.132はシングルチューブ構造を採用しています。

チューブを実際に触った印象としては、安っぽさを感じることはありませんでした。
適度な柔軟性があり、質感も良好です。
チューブも安っぽい感じはしませんね。触った印象では、十分満足できる質感です。
ただし、私はこの機種を長期間メインで使用していないため、チューブの変色や硬化、経年劣化などの耐久性については評価していません。
聴こえ方:自分と家族で確認した印象
実際に自分や家族の胸部へ当てて確認した範囲では、呼吸音は十分に聴き取れました。
私が普段臨床で使用しているマスターカーディオロジーと比べても、好印象でした。
一方で、イヤーピースの密着感なども影響している可能性がありますが、外部音の遮断という点ではマスターカーディオロジーの方がやや好みに合う印象です。
これは同一条件で音響性能を測定した比較ではなく、私自身の主観的な感想です。
また、患者さんに使用した際の聴こえ方や、騒音のある医療現場での聞き取りやすさまでは検証していません。
ラッセルの実機評価
ここまでの実機確認を踏まえ、私の評価をまとめます。
TS-FONETTE No.132の主観評価
- 背側への入れやすさ:5/5
チェストピースの形状から判断した評価。患者さんでの実使用による評価ではありません。 - 聴こえ方:4/5
自分・家族での聴診に基づく主観評価です。 - 総合おすすめ度:4/5
リットマン以外の選択肢として魅力を感じる一方、長期臨床使用での検証はできていません。
※5段階評価はメーカー公表値や客観的な音響性能測定ではなく、ラッセル個人の評価です。
その他の参考画像
ここからは、実機の形状や付属品を確認するための参考画像を紹介します。
チェストピースの持ちやすさ

チェストピースを持ってみると、示指と中指の間に収まりがよく、個人的には持ちやすい形状だと感じました。
チェストピースのサイズ感

サイズ感もいいですね。私の臨床スタイルでは、背側へ差し込む場面で使いやすそうな形状だと感じます。
付属品・交換用パーツ

イヤーピースを自分の耳に合わせて選べるのは、うれしいポイントですね。ダイアフラムなどの交換部品が用意されている点も確認できます。
付属品や交換部品の種類は、購入時期や仕様変更によって異なる場合があります。購入する際は販売店またはメーカーの最新情報を確認してください。
TS-FONETTE No.132はどんな人におすすめ?
私がこの聴診器をおすすめしたいのは、次のような方です。
- リットマン以外の聴診器も検討したい方
- チェストピースの形状や取り回しを重視する方
- イヤーピースの選択肢を重視する方
- すでに聴診器の使用経験があり、別の機種を試してみたい方
一方、これから初めて聴診器を購入する看護師、理学療法士、作業療法士、医療系学生の方には、私はリットマン Classic IIIを第一候補としておすすめしています。
No.132の性能が不足しているという意味ではありません。初めての1本として選ぶ際の判断のしやすさや、私自身の評価基準を踏まえたおすすめです。
まとめ:TS-FONETTE No.132は魅力的な選択肢
ケンツメディコ TS-FONETTE No.132を実際に触って確認した結果、私は次の点に魅力を感じました。
- エクステンションダイアフラムという独自の構造
- 自分には十分な密閉感が得られたイヤーピース
- 背側聴診を想定したときに扱いやすそうなチェストピースの形状
- 自分・家族で確認した範囲での良好な聴こえ方
- リットマン以外にも選択肢があるという魅力
一方、胸郭の凹凸が大きい部位での当てやすさや、長期使用時の耐久性、実際の患者さんに対する使いやすさについては、今回の実機確認だけでは結論を出せません。
初めての1本なら、私は今もClassic IIIを勧めます。
ただし、すでに聴診器を使っていて、リットマン以外の選択肢を探しているなら、TS-FONETTE No.132は検討する価値のあるモデルだと思います。
聴診器は高ければいいわけでも、有名メーカーなら絶対に正解というわけでもありません。自分の使い方に合うかどうか。それが一番大切だと思っています。
ここまでレビュー を読んで購入する聴診器が決まったら、絶対に押さえて おくべきポイントがあります。
それは、名前の刻印です。以下の記事を参考にしてみてください。

他のモデルやレビューも確認し、自身のニーズに最も合った聴診器を選ぶために、ぜひ詳細を確認してみてください。医療現場での診断精度を高めるために、最適なツールを選ぶことが重要です。
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